これからの自治体経営に求められるもの②

公共不動産における「空間」と「制度」と「組織」の大変革

自治体にとっては、とても頭が痛い公共不動産の更新問題。(前回の記事を参照「自治体を悩ます公共不動産の課題について」)総務省では、自治体の起債(借金)のメニューに初めてともいえる除却債という「建物を取り壊すための借金」のメニューが加えられました。使わなくなった、役割を終えた社会資本(モノ)の除却です。

もう一つ視点は、「活用できる資産」にも着目し、民間と一緒に使える資産や、「稼ぐ機能」に着目した資産の再投資についても政策的にバックアップする動きがあります。

20191129_鶴見タウンシミュレーション12月3日資料

戦後作られたストックが、大量に更新時期を迎える中、自治体でも、保有する公共不動産を地域で新たな視点を入れた活用をする動きが広がってきています。今まで行政が苦手としてきていた「稼ぐ」という視点も重要になってきています。

公共R不動産という建築家馬場正尊さんの本に、日本の公共空間においては、3つの大変革が起こってきていると書かれています。その3つとは、「空間」「制度」「組織」

20191129_鶴見タウンシミュレーション12月3日資料2

「空間」は、新たな視点で空間を作り直す、組み合わせを変えて、使う、「稼ぐ」機能も公共に組み合わせたり、シンプルに言えば、言ってみたいという公共空間を増やせる可能性をいかに伸ばせるか?といっても過言ではありません。

「制度」は規制緩和、社会実験で住民のニーズに合わせて新しい使い方を実験する、運営組織も民間や住民組織が行うというもの。

そして、組織は、使う側の視点で、柔軟な対応や、契約の仕方など公共空間のハードルとなっている行政の縦割りの管理状況など、このあたり複雑なところが多いですが、ここが変革していくと、もっと公共空間の使い方は、面白く使えるようになってきます。(なかなかこの辺りが一番ハードルが高いところなのですが)

resize91844

大分県豊後高田市の廃園になった都甲幼稚園をパン屋さんにした事例。移住政策を推し進める豊後高田市に、移住+起業+公共不動産活用とセットで、幼稚園だった施設をパン屋さんリノベーションしています。

幼稚園という行政が使う財産も使われなくなれば、普通財産という自由度の高い財産に変更でき、賃貸、売却などができます。(制度面)

それを「稼ぐ」視点も入れて、活用することで地域にも喜ばれ、新たな空間活用が生まれます。(空間)

山間部というハンデも外でパンが焼ける窯を作り、園庭で楽しむなど、その場所でしかできない使い方をされています。

そしてこの企画を受け入れ、実行するために、行政職員の方々も様々な調整に動いていただき実現できた事例です。(組織)

自治体は地域で一番の「不動産屋さん」でもあります。空間、組織、制度の3点をうまく組み合わせていくことが肝になりそうです。

4464e646cb30b44fc1311f0b2c7f2971_1560134115

b746a86ef3550cf6735bce28d474db30_1560134115

9a1521ea48911897bb69e423b50dbb6a_1560134115

産山村のお隣の竹田市久住町の公民館の事例。

丸山集落改善センター、いわゆる公民館施設です。この公民館施設がすごいところは、10数世帯の地域ながら、集落全体で資金を集め、自分たちで建て替えを行っているところ。なぜそのようなことができているかというと、高原地帯でもある久住地域の特性を生かし、マラソンの合宿施設として、活用されているからです。集落の方々で、1.2キロに及ぶマラソンコースまで整備し、毎年マラソン合宿場所としても活用されているのです。

59609567_2018748514917694_3140197469397188608_o

76999342_2386220281503847_4975550515258589184_o

62624721_2116266211832590_4828265843181748224_o

67757360_2179828828809661_7520223418713636864_o

産山村にも地域のNPO団体が作った図書館があります。ぜひ、次回取材に行きたいと思います!山間部ならでは特性を生かして、地域主体でも公共空間を活用していく可能性を感じます。

地域科学研究所:西田

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です