地域活性化のキモとは?

いくつもの地域プロジェクトを動かしていると、じわじわと活性化の原則論がわかってきます。良く見られるのは、活性化=観光=イベントの図式。○○青年部などの公的集まりが主体となり、ボランティアで始まるもの。予算がなく、手弁当となると、負担は相当なもので、多くは数年でフェードアウトが相場です。
僕は、最も重要なのは、換金物を作り、磨き、それを外世間にどれだけうまく伝えられるか。ここにほぼ本質があると思っています。人口減も、後継者不足も、耕作放棄地も山林の荒廃も、その多くは稼げなくなって行き詰まってしまうのです。稼ぎましょう。ただし、自力では限界があります。
弊社Bunboがさまざまなプロジェクトで取り組んだ商品開発は、すべてプロの力を結集したものです。食品なら料理研究家を入れてレシピから考えます。中身が決まったら、デザイナーにパッケージを提案してもらいます。ここを自分たちでやってしまい、大きなポテンシャルがあるのに、売れなかった商品を僕は山ほど知っています。
産山村は、換金できる魅力的な商品やサービスをどれだけ生み出すことができるのか。この村の未来はそこに掛かっていると言っても過言ではありません。これまで弊社が関わった中から、幾つかのヒット商品をご紹介します。(江副P)

商品開発01

「九州ちくご元気計画」で生まれたむつごろうラーメン(右)は、月1万食出荷。

商品開発02

シニア女性2人が立ち上げた山の神工房の売れ筋。黒にんにく「元気の黒玉」。

商品開発03

八女郡星野村のJA女性部が立ち上げた乾燥野菜シリーズ。「ほしのほしやさい」。

商品開発04

筒井玩具花火製造所の大ヒット商品。線香花火「花々」は、1万円でも常に品薄。

商品開発05

大分竹田の「たけたの食べ方」で開発した人気商品、「かぼすサブレ」。

商品開発06

淡路はたらくカタチ研究島で誕生した「木々のはちみつ」。金額は4500円也。

 

吉本哲郎氏の地元学 「足もとをみつめよう」

産山村の将来のあり方について村民とともに考える産山未来計画づくり。これまで、村が直面する問題を中心に話し合いを重ねてきましたが、11月14日(木)に開催された第4回産山未来会議では、産山村の持つ「良いところ」や「資源」について考える機会を設けようと、水俣市より地元学ネットワーク主宰である吉本哲郎氏と国立水俣病総合研究センターの原田利恵氏にお越しいただきました。

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まずは原田利恵さんによる「第三者の目からみた産山村の良さ」。

初めて産山村を訪ねた原田さんが、会議までの4時間に村を巡った感想を写真スライドとともに見せていただきました。私たち住民が当たり前のように目にする村の1シーンを「美しい」と呼ぶ原田さん。原田さんのスライドを見ながら、私たちにとってはなにげない日常の、ありふれた景色の貴重さ、素晴らしさをあらためて気づかされます。

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次に吉本氏によるお話し。
地域の良さを探す手法として全国に広がりをみせる「地元学」は、水俣病で分断された地域を再生する「もやい直し」の実践的な方法として生み出されました。

住民間の断絶が続き「20年も患者と全く会えなかった」という元市役所職員の吉本氏は、中傷や差別、風評被害で大きな傷を負った水俣で「周りが変わらなければ、自分たちが変わるしかない」と腹を括り、住民たちと共に徹底的に自分たちの足元を見つめ直しながら「地元にあるものを探し、組み合わせて新しいものをつくる」「そこに気づきと感動があった」と水俣の再生について語ってくれました。また、その過程には「笑い」と「ユーモア」が最も大切だったことを何度も強調されていました。

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良いもの探しのコツは、村には「なにもないと思っているかもしれないが、ここが大好きという場所を見つける」とのこと。「いいものを毎日見ていると当たり前になってしまうかもしれない。でも本当は当たり前ではない。失った時に初めて当たり前でなかったことに気付く」と「ないものねだり」ではなく「あるもの」が壊れてしまう前に価値を「発見」し、大切にしていく思いを一人一人が持つことが地域づくりにつながると語っていただきました。

そのように考えると、住民アンケートでの「産山村の好きなところはどこですか」に対する回答を整理すると、村が大切にしないといけないものが見えてきます。

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地元学は「失う」前にあたりまえの尊さに気づいてもらう、きっかけづくりという吉本氏。村の良いものを失ってしまわないよう、次に残していくことを計画に取り入れたいと考えています。(産山村企画振興課)